まめちの本棚

Twitterで書ききれない話題をこちらに纏めています。

【模型製作記】ハセガワ 1/48 ボイジャー無人宇宙探査機

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購入の動機

ボイジャー木星から外側の軌道にある惑星を探査するために、1977年に打ち上げられた宇宙探査機である。1号、2号ともに打ち上げから40年が経った今なお旅を続けており、かつ、現在も地球と通信を定期的に行っている類まれな宇宙探査機である。

学生の頃に読んだ『飛び道具の人類史―火を投げるサルが宇宙を飛ぶまで』という本に、「ボイジャーは人類がこれまで放り投げたモノのうち、最も遠いところにある物体である」というくだりがあり、強い印象を抱いたことを覚えている。

このように、昔からボイジャーには関心があったわけだが、今回たまたま秋葉原ヨドバシカメラで見つけたので購入。1700円程度という安さも魅力だった。

なお、ボイジャーのミッションの詳細は下記Webサイトを参照されたい。

https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/9297_voyager

製作期間

3日。2019年7月13日~15日の3連休を利用して一気に組み立てた。

組立

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部品点数はさほど多くない。バリや目立ったパーティングラインもなく品質そのものは良い。ただし、ダボ穴がきつすぎるためヤスリやピンバイスで穴を広げてやる作業が必要。

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支柱やアンテナなど、細長く折れやすい部品が多いので取り扱いには注意が必要。

塗装

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写真の中央、金色の部品は、地球の様々な音を収録した「ゴールデンレコード」。レコードの保護板に刻まれた様々な模様も、細やかに再現されている。

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パラボラアンテナは白、本体部分はセミグロスブラックをそれぞれスプレーし、適宜シルバーやカッパーなどをその上から重ね塗りした。塗装指示通りに粛々と作業を進めた。なお、デカールはもとから付属していない。

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完成図がこちら。左側に向かって伸びている磁力計がとても長い。

総論

飛行機や自動車の模型は、翼、エンジン、プロペラ、ステアリングなど、部品の果たす役割がおおむね理解できるため、構造や役割を咀嚼しながら組み立てていく楽しさがある。また、組立が進むごとに、頭の中にある実物のイメージに近づいていくのが面白い。

一方で、ボイジャーは、円や直線、四角形などの図形をつなぎ合わせた、現代美術の作品のような非常に抽象的な造形である。そのため、どの部品が何の役割をしているのか直感的に分かりづらい。

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キットには図のような解説書が付属しているほか、組立説明書にも部品の名称が記載されているものの、何に用いられるのかがやはり今一つイメージしにくい。そのため、モチベーションを長時間保つのは難しいと判断し、短時間で一気に組み上げることとした。

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大きさがどの程度なのか知りたくなったので、比較用に、同縮尺のタミヤの「ハンビー」を作って並べてみた。ハンビーは乗用車「アルファード」とほぼ同じ大きさである。これと並べると、パラボラアンテナの大きさや、細長いアンテナの長さなどが直感的に理解でき少しモヤモヤが解消された。

今年(2019年)は、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウへの着陸に成功したほか、アポロ11号の月面着陸から50周年を迎える年であるなど、宇宙関連の話題が多い年である。皆さんもボイジャーの模型を手に取って、遠い宇宙に思いを馳せるというのはいかがだろうか。

 

参考文献

宇宙探査機 (ポピュラーサイエンス)

宇宙探査機 (ポピュラーサイエンス)

 

 なお、NASAボイジャーの特設サイトを用意している。

https://voyager.jpl.nasa.gov/

タミヤ 1/48 ロッキードF-117Aナイトホーク "The Toxic Avenger" 製作機

タミヤ 1/48 ロッキードF-117Aナイトホーク "The Toxic Avenger"

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購入の動機

ヤフオクを巡回していたところ、たまたま送料込みで2,500円程度と手ごろな価格で販売されていた本キットを見つけたため購入。テレビゲーム「スターフォックス」の戦闘機や、映画「スターウォーズ」の帝国軍の兵器のような、SFじみた外観も魅力に感じた。また、「世界初のステルス戦闘機」という属性にも興味を惹かれた。

実機について*1

以下、実機についてのエピソードを、備忘を兼ねて述べる。

ロッキード(現ロッキード・マーチン)F117Aナイトホークは、米軍の戦闘機である。本機は、世界初の本格的なステルス性能を備えた攻撃機と、飛行機の歴史の中で重要な位置づけにある。

敵のレーダーに感知されない(されにくい)性能、すなわちステルス性能を備えた兵器の開発は、レーダーの発明以降各国の重要な課題であった。米軍はステルス性能向上に向けた研究をかねてより進めており、無人偵察機D-21や戦略偵察機SR-71などの、既存の機種に比べ比較的ステルス性能の高い軍用機を実用化していたものの、十分なステルス性能を有しているとは言えなかった。

このようななか、ロッキード社の先端技術開発チーム「スカンクワークス」は米軍からの要請を受けよりステルス性能の高い戦闘機の開発に着手。当時の最高の頭脳を集め、満足なコンピュータもないなかで試行錯誤を重ねた結果、レーダーにもっとも検知されにくい、多面体からなる機体形状の開発に成功した。曲面から構成される航空機の常識とはかけ離れた形状から、「果たして実用化できるのか」と危惧されたそうだが、さらに研究を重ねコンピュータによる操縦の補間機能などの周辺技術の開発により、実用化に漕ぎつけた。

1982年に量産1号機が初飛行に成功。1989年のパナマ侵攻「ジャストコーズ」作戦にて実戦にデビュー。1991年の湾岸戦争では、開戦時においてイラク軍の防空レーダーに探知されることなくイラク領土内部にある軍の重要設備の空爆に成功。そのステルス性能の優秀さを世間に知らしめることとなった。以後、コソボ紛争アフガニスタン侵攻、イラク戦争などでも活躍したのち、2008年に退役している。

 製作

製作期間

部品点数や塗分けが比較的単純なこともあり、ほぼ1週間で組み立てられた。

組立

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上下張り合わせ式となっている機体に、爆弾層、車輪、コックピットなどをくっつけていくイメージ。文庫本と比較してもかなり大きく、存在感がある。ピトー管はランナーで保護されており、最後に取り外す。

パーツの合いはおおむね良好だが、キャノピーを開く状態で組み立てることが前提となっているようで、キャノピーを閉じると照準器がキャノピーと干渉してしまうことに注意が必要。加えて、胴体が大きいため歪みが発生するらしく、爆弾槽が胴体下部とピッタリと合わない。接着剤に加えテープなどで補強したほうが良いだろう。

塗装

機体

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説明書の指示通りセミグロスブラックでスプレー。爆弾槽、車輪の格納部、コックピットは別パーツとなっており、塗り分けは容易であった。

コックピット

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こちらも説明書の指示通りに塗り分け。特段難しい部分はなし。フィギュアも説明書通りに塗り分けたが、頭部が単調になってしまった。ゴーグル部分は何か別の色で塗り分けたほうがよかったかもしれない。

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キャノピーは、キットに付属のマスキングテープを使って塗分け。ギザギザ部分の切り出しが多少面倒。

エンジン周辺

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排気による汚れをイメージし、タミヤ スミ入れ塗料 (グレー)ウェザリング

レーザー誘導爆弾


説明書には「オリーブドラブUSAF」とあったが、生産中止となっているようなので通常にオリーブドラブで塗装。

車輪格納庫、爆弾槽など

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パーツ成型色は黒色なので、白のサーフェイサーを塗布し、その上にホワイトを重ね塗りした。

デカール

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数はそれほど多くないが、台紙から剥がれるのにそれなりに時間がかかる。

総論


戦闘機の模型は、コックピットの工作や機体の成形のほか、爆弾の塗分けなど何かと手間がかかるイメージだったが、本作は塗装の単純さ(黒と白のみ)、部品点数の少なさもあり比較的組み立てやすかった。私が言うのも何だが初心者でもモチベーションを損ないにくい良質なキットと思う。

 

タミヤ 1/48 傑作機シリーズ No.59 アメリカ空軍 ロッキード F-117A ナイトホーク プラモデル 61059

タミヤ 1/48 傑作機シリーズ No.59 アメリカ空軍 ロッキード F-117A ナイトホーク プラモデル 61059

 

 

 

参考文献

 

F-117ナイトホーク (世界の名機シリーズSE スペシャル エディション)

F-117ナイトホーク (世界の名機シリーズSE スペシャル エディション)

 

 

*1:このような「物語」を押さえておくと模型工作が一段と楽しくなるのである。

【19/5/17完成】タミヤ 1/35スケール T34/76戦車(ソ連、WWⅡ)

戦車のプラモデルを組み立てた。

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◆キットについて

・「タミヤ 1/35  ソビエト陸軍 T34/76戦車 1943年型」というキット。タミヤの看板商品である「ミリタリーミニチュアシリーズ」の59番目の製品である。金型は1980年代に作られたものであり、息の長いロングセラー商品となっている。

T34は独ソ戦において重要な役割を果たした戦車である。詳しい内容はここでは立ち入らないが、歴史的な位置づけの重要性と、「戦車らしい」フォルムに惹かれ購入した。2,000円弱とリーズナブルなのも良い。

◆組立
・組立そのものは特段つまずくところもなくスムースに組めた。古いキットだがパーツの合いがよく、バリも少なく、さすがタミヤ製と感心。部品点数が少ないのもよい。昔は電池を入れてラジコン的に遊べたようで、その名残とみられる穴が車体下部に空いていたのでパテで埋めた。

・履帯はゴムでできており、プラ用接着剤ではくっつきにくいため、セメダインXを利用して接着した。転輪の上部にも接着を施すことで履帯が「垂れた」状態を再現できたと思う。

・スコップなどのアクセサリーは「自由に配置してよい」とのことだったので、黒く沈みがちな全体の色調にアクセントをつけるため木箱を選択した。

◆塗装
・車体:タミヤディープグリーンをエアブラシで吹き付けた。転輪や履帯などは全体を塗装した後に筆で塗り分けた。

ウェザリング:ミスターホビーのウェザリングカラー(ステインブラウン)にフラットブラックを加えたものでウォッシングした。スミ入れの延長という形で部分的にしかウォッシング用のエナメル塗料を塗らなかったため、塗りムラが出てしまった。全体を覆うように、ふんだんに塗料を使えばよかったと反省。

・ウォッシング中に、手すりなどの細かい部品が筆に当たって取れてしまうことがあったほか、細かい部品が邪魔になってうまく塗装できないことがあった。この点は今後改善したい。

・人形は「戦車の添え物」という位置づけとするため、組立後全体にサフを吹き、エナメルのブラックで墨入れを施しただけで仕上げた。決して人形の塗装が面倒だったからではない。

・人形を接着した後、全体に艶消しスプレーを吹いて完成。

◆総論
・戦車の模型を完成まで漕ぎつけたのはこれが初めて。エアブラシを使用したりウェザリングを本格的に施したりするのも初めてだったため、手間取ることもあったが、まずまずの水準に仕上がったのではないかと満足している。

 ◆キット

タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.59 ソビエト陸軍 T34/76戦車 1943年型 プラモデル 35059
 

 ◆参考書籍 

戦車模型の作り方 普及版 (ものぐさプラモデル作製指南)

戦車模型の作り方 普及版 (ものぐさプラモデル作製指南)

 

 

【感想】映画「大いなる旅路」(関川秀雄監督、1960年公開)

映画「 大いなる旅路」関川秀雄監督、1960年公開)がとてもいい映画だったので、感想を書き記しておくことにした。

あらすじは下記の通り。

大正末期の盛岡。国鉄の機関士助手を務める岩見浩造は、親友の佐久間太吉だけが試験に合格したため荒れていた。しかし先輩の橋本機関士が雪崩に遭遇し機関車もろとも死んでしまい、機関車の安全運転に努めることを決意する。漁師の娘ゆき子と結婚し三男一女をもうけるが、長男は戦死、長女は親の反対を押し切って男と出て行った。次男は東鉄教習所へ行くが、予科練へ行った三男は東京へ向かい行方知れずとなってしまう。

引用元:allcinema.net

本作では、軍歌を筆頭に、「歌」を作中の要所で効果的に利用している点が印象深かった。

物語中盤。浩造(三國連太郎)の4人の子供が学徒動員で鉄道工場における労働に従事するシーンや、出征していく兵士を送り出すシーンは「露営の歌」をBGMに進行していく。


露営の歌

浩造の運転する列車が雪崩で止められてしまい、乗客の兵士に歩いて先へ進むよう促すシーンでは、乗客全員が「出征兵士を送る歌」を歌うシーンが登場する。主人公一家を含め、日本全体が戦争に巻き込まれていく雰囲気を効果的に演出している。


<軍歌>出征兵士を送る歌

予科練に志願した三男・孝夫(中村嘉葎雄)が故郷を発つシーンでは、「若鷲の歌」をBGMとして利用している。緊張した面持ちの三男、複雑な表情で煙草を吸う父、そして本心とは裏腹に今にも泣きだしそうな表情で万歳をする母・ゆき子(風見章子)。三者三様の複雑な心中を察すると胸に迫るものがある。


若鷲の歌(予科練の歌)【戦時歌謡】

終戦間もない1947年の「二・一ゼネスト」のシーンでは、「歩兵の本領」の替え歌である「聞け万国の労働者」を歌いながら行進する若者のシーンが映し出され、時代が戦中から戦後へと大きく転換したことが印象付けられる。


「聞け万国の労働者(メーデー歌)」

三國連太郎をはじめ、風見章子、高倉健(次男)といった昭和の名優の演技を多いに楽しめる。他にも、国鉄時代のレトロな鉄道車両や、実際の線路と車両を用いたという迫力ある雪崩事故のシーンなど、みどころ満載の映画である。ぜひご覧になっていただきたい。

 

大いなる旅路

大いなる旅路

 

 

以下雑感:

・「歩兵の本領」は非常に有名な軍歌である。おそらく誰もが歌えたであろうこの歌の「替え歌」として、労働者の権利獲得闘争を歌い上げる「聞け万国の労働者」を作詞した人はかなりのセンスの持ち主だと思う。

・「若鷲の歌」は、「日本のいちばん長い日」(岡本喜八監督、1967年公開)においても、首都に迫りくる米軍機を迎撃すべく戦闘機が出立していくシーンでも非常に効果的に用いられていた。

・キャストに梅宮辰夫の名があったので楽しみにしていたのだが、結局どこに出演したのか分からずじまいだった。あとで確認したところ、主人公の幼馴染の長男という配役であった。後のヤクザ映画のイメージとは似ても似つかない、爽やかな青年を演じていた。

・作品の冒頭で、浩造が当初機関助手として乗務する汽車は「国鉄8620型」である。機関士として運転する機関車は「D51」。功績賞を受賞した浩造が上京するために乗車した列車を牽引したのは電気機関車の「EF58」。娘に会うために名古屋に向かう際に載る「こだま」号は151系と、蒸気機関車から電車特急へと、浩造が国鉄に奉職した30年間のうちに、鉄道技術が長足の進歩を遂げたことが印象付けられる。

・当時の国鉄職員は55歳で定年退職らしい。うらやましいなぁ。

 

トルコリラで大損こいた話

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こんにちは。まめちです。

トルコリラ、昨日(2018年8月10日)大幅に下げましたね。

数日のうちに強制ロスカットを食らい、大損した投資家も多いのではないかと思います。

じつは私も、かつてトルコリラに投資し、

「これまでの投資経験で最大額の損切り余儀なくされる」

という痛い目に遭ったことがあります。

今回は、なぜ

  1. トルコリラに投資し大損したのか 
  2. そこから得た教訓 

というテーマで話をします。

私の失敗を、もって他山の石としていただけると幸いです。

目次

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トルコリラ投資の全体像

なぜトルコリラに投資したか

高いスワップポイントに釣られた

ハイこれです。要は高利回りに釣られたんですね。

レバレッジ2~3倍で利回り10%超えるじゃん!スゲエ!」って思っちゃったわけです。

まぁでも冷静に考えてみると、通貨の価値が下落する確率が高いから高いスワップポイントを付けないと誰も買ってくれないわけですよね。

リスクのある先には高い金利を付ける。金貸しの大原則です。

でも当時は欲で目がくらんでしまって、その辺を冷静にジャッジできませんでした。

チャートの形をみて「この辺が底だ」と思った

トルコリラに投資する2~3ヶ月前からFXをやり始めました。

最初はスキャルピングデイトレードが主体だったのですが、損するばかりで全然利益を出せず、「根本的にトレードのやり方を変えないといけないなぁ」と考えていました。

そんな中、「スワップポイントを狙った中長期的なトレード」というスタイルの存在を知り、

「これならあくせく売ったり買ったりしなくても良い。サラリーマンとの兼業投資家である自分のスタイルに合っている」

と思いました。

そのような中、トルコリラは高利回り!というWeb広告を見て、ものは試しに…とトルコリラのチャートをみてみると、これまで継続的に続いてきた下落トレンドが一巡し、底打ちしたようにみえました。

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エントリー時に見ていたチャート

「このまま横ばいないしは反転上昇してくれれば、スワップポイント収入とキャピタルゲインで利益が出る。

仮に下落したとしても、高いスワップポイントでキャピタルロスをある程度補填できる。

これは『美味しい話』なのでは?

と思ってしまった訳です。

何度かトルコに訪れたことがあり、親近感があった

入社してから社会人3年目くらいにかけて、私はしょっちゅう中央アジアや中東を旅していました。

その際によく利用していたのが、関空を深夜に離陸し、翌日の早朝にイスタンブールに到着するトルコ航空の飛行機でした。

イスタンブールはあくまでトランジット先であり、トルコそのものを旅行先としたことはなかったのですが、

飛行機から見える街並みや、トルコ航空のサービスの良さ、イスタンブールの街の雰囲気はとてもスマートで近代的に見え、

とても高インフレに苦しむ経済的にシンドイ国とは思えませんでした。

こういう変な「土地勘」があることも手伝い、

「トルコ経済は今悪くても中長期的には回復する」という変な思い込みを形成してしまった訳ですね。

教訓

金管理の重要性

さてトルコリラ投資を始めてみると、確かに入ってくるスワップポイントは高いのですが、それ以上にレートは下がっていきました。

最初はレバレッジ3倍で始め、「追加投資をしても、レバレッジは投資時の購入レートと初期投資資金から換算して、5倍程度に留める」と決めていました。

しかし、

ナンピンを繰り返すうちにレバレッジはあっという間に5倍、6倍と膨らんでいき、最終的には10倍弱になっていました。

「最初に決めたレバレッジ上限を守る」という自分に課した資金管理ルールを破ってしまった。これが失敗の第1です。

損切りラインを事前に決定してからエントリーする

トルコリラ相場は、エントリーして以降下げ続け、底なし沼の様相を呈してきました。「どこかで損切をしないといけない」とは思ってはいたのですが、「いつか反転上昇するに違いない」と、神頼みをする毎日でした。「どこまで続くぬかるみぞ」といった気分です。(古い)

生兵法は大怪我の基

結局のところ、「自分は金融や経済、投資のことをある程度分かっている。その自分が投資するのだから、少なくとも大損することはない」 という慢心があったのだと思います。

金融のプロが投資で大負けする話は枚挙に暇がありません。その事実を知っていたにも関わらず、なぜか自分だけは大丈夫だと思ってしまうんですね。

加えて、何度かトルコを訪れたことで「多少なりとも現地事情をイメージできる」と考えてしまったこともナンセンスでした。

現地に何年か駐在して暮らしていたならまぁ話は分かりますが、イスタンブールを何回か訪れただけで何がわかるというのでしょう。

他人が自分に同じような話をしたら一笑に付すでしょうが、我が事となると客観的に判断できなかったのです。

「楽して儲かる話はない」

結局、このことに尽きるのだと思います。

結果的に見ると、致命傷を食らう前に強制ロスカットが執行されて良かったと思っています。さもなくば、ずるずると追加し投資を続け損失がさらに拡大したでしょうし、精神衛生上きわめて良くなかったと思います。

何より、これで一念発起してFXをきちんと学びなおそうと思い、トレードスタイルを根本的に改善する契機となったことが良かったですね。

ヒ〇セ通商さん、LCしてくれてありがとうございました(苦笑い) 

皆様もゆめゆめ、うまい話にはご注意ください。

 参考文献

漂流するトルコ―続「トルコのもう一つの顔」

漂流するトルコ―続「トルコのもう一つの顔」

 

 当局による少数民族弾圧や言論弾圧といった、あまり報道されることのないトルコのダークな一面を垣間見れる本です。著者は複数の少数言語に通じ、トルコに批判的な論文を書くあまりトルコ当局から入国禁止を食らったという「異例の経歴」を持つ方です。