まめちの本棚

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悲しみの歌

悲しみの歌 (新潮文庫)悲しみの歌 (新潮文庫)
(1981/06)
遠藤 周作

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【概要】

今年に入って最初に読む遠藤周作の小説。

『海と毒薬』の主人公・勝呂医師のその後と、彼を取り巻く人々が新宿で織りなす人間ドラマがこの本の筋書きである。

前半はグダグダだが、後半になると読ませる話の展開になる。

【印象に残った箇所】

遠藤氏の作品は老いや病の辛さ、苦しさを描いた作品が多いが、本書も例外ではない。

特に、大学教授が若者の格好に変装してディスコ(時代を感じる)に行き若者たちと混じって踊るシーンで、「若い娘の汗の匂いを嗅ぐのが彼にとってこの上ない楽しみであった」とする描写には寒気すら感じた。

僕には若い娘の汗の匂いとやらは良く解らないが、それもそのはずで作者は「若者にはわからないもの」だとしている。

うーん、そんなものなのか。

逆に言うと、この匂いが解るようになったとき、自分は老いたということなのだろうか。

次に「この世には祭りの来る人間と来ない人間がいる」という台詞にもドキッときた。

僕の場合はどうだろう。今まで二十数年間生きてきて、色々辛いこともあったが、やっぱり楽しいこともあったし、これからも浮き沈みはあるにせよそこそこ楽しい人生は送れるだろう。でも世の中にはそうでない人もいる。

【総評】

悪くない内容だったが、Amazonのレビューが全て5つ星になるほどいい内容か?とは思わなかった。

(もっとも、5つ星を付けたくなるほど感動した人たちだけがレビューを書くというバイアスはあるだろうが)

全体的に話の展開がグダグダすぎるのと、登場人物の人間関係の繋がりが濃すぎてわざとらしい。

と言うわけでストーリー性にはあまり高評価は付けられない。

内容も、他の遠藤氏の小説に出てきた

「人生における苦しみ」

「罪と許し」

「老いの恐ろしさ、醜さ」

「人生の意味」

といったテーマの反復であり、斬新さは見られなかった。