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まめちの本棚

自分が「面白い」「皆さんに知ってほしい」と感じたことを書き記すブログです。※投稿内容は個人的な意見の表明に過ぎず、所属する組織の見解を反映するものでは一切ありません。

背教者ユリアヌス(中)

背教者ユリアヌス (中) (中公文庫)

※書評というよりは、作中に出てきた事柄のうち興味を持ったことについて書きます。

よってこの記事を読んでも本の内容はあまりわかりません。

内容についての書評は、Amazon等にすぐれた評論がたくさん投稿されているのでそちらをご覧ください。

・ケルン

ローマ帝国のガリア統治の本拠地であったケルンは、ドイツ西部に位置するライン川沿いの街である。昔はオッピドゥム・ウビオールムといったが、クラウディウス帝の妻アグリッピナがケルン出身であったことからコローニア・アグリッピーナという名前に変わり、それがケルンと呼ばれるようになったらしい。

余談になるけど、アグリッピナってネロ帝のお母さんだね。

ネロ帝の生涯を描いた作品としては、安彦良和著『わが名はネロ』という作品がお勧めです。

我が名はネロ (1) (中公文庫―コミック版)

私は2006年の9月にドイツ・オーストリアを旅行した際に、かの有名なケルン大聖堂を見物するためにこの街を訪れた。

大聖堂そのものも、今から700年も前に建築されたとは思えないほど迫力のある建物でとても圧倒されたが、その隣にあったローマ帝国時代の遺構を展示する博物館も興味深かった。

当時はなぜこの地にローマ帝国の博物館があるのかよくわからず、日本で言うところの縄文土器やらを展示する郷土資料館みたいなものかと思っていたが、今回この小説を読んでケルンがローマのガリア統治の重要な都市であったことをはじめて知り納得がいった。不勉強を恥じ入る。

パピルスと羊皮紙の使い分け

作中では文章を書き留める媒体としてパピルスと羊皮紙が使い分けられている。

羊皮紙は皇帝が出す勅令政令といった公式文書、宗教書や哲学書などに用いられていたようである。パピルスでは強度・耐久性が羊皮紙に比べて劣るため、重要事項を伝達したり長期保存する目的の文書は羊皮紙に書き留められていたようだ。

また、羊皮紙は表面を削り直して誤字を修正できるなどの利点があったらしい。ただし、その利点が作中では命令書の改竄という形で悪用されることになるのだが…。

これもドイツに行ったときの話になるが、先述の旅行中に活版印刷術を開発したグーテンベルクゆかりのマインツという街を訪れた。マインツには印刷博物館があり、かの有名な『グーテンベルク聖書』が展示してあった。グーテンベルク聖書はもちろん紙に印刷してあったが、その隣の展示室には羊皮紙に書かれた写本の聖書が展示されていた。もちろん手に取ることはできなかったが、紙に比べて分厚くごわごわした感じの表面で、これで製本したらとても重たかっただろうなと思った。

グーテンベルクの印刷術の発明は情報革命をもたらしたと良くいわれるが、安くて軽い紙の発明も情報革命をもたらす上で非常に大きな役割を果たしたのではないか、と思う。因みに羊皮紙は動物の皮から作るため製造コストがべらぼうに高く付く。今も羊皮紙は外交文書用などに作られているらしいが、A3サイズで100ドルほどするらしい。昔はもっと需要があっただろうから遙かに安かっただろうが、仮にコストが1/100だったと仮定しても一枚1ドルである。

ユリアヌス帝が自分の著作の草稿をまとめたり、恋文を出すのに使うシーンにはパピルスが使われている。今で言うメモ帳のような使い方をされていたようだ。

アカデメイア

ユリアヌス帝は20才前後の頃、ギリシアアテネにあるアカデメイアで学んでいたようだ。

アカデメイアって4世紀にはまだあったんだね。意外。

Wikiで調べてみると6世紀にユスティニアヌス帝の命によって閉鎖されたらしい。