まめちの本棚

自分が「面白い」「皆さんに知ってほしい」と感じたことを書き記すブログです。※投稿内容は個人的な意見の表明に過ぎず、所属する組織の見解を反映するものでは一切ありません。

千夜一夜物語

わが国では「アラビアン・ナイト」として有名な同著。

「アラジンと魔法のランプ」「アリババ」などで有名ですね。

子供向けの話と思いきや、中身は非常に濃密で摩訶不思議、エキゾチック、エロティック。滋味溢れる話ばかりで、飽きることがありません。

人生訓としても大いに価値のある記述も多いのですが、なにぶんこの物語は、

奴隷に王妃を寝取られ人間不信になった王様が国中の処女と夜毎にふしどを共にし

『自分のような目にあう男が今後いなくなるように』という理由でその女性を行為が終わるごとに殺害する。

王の乱心を憂いたシェラザード・ドゥニャザードの美人姉妹が自ら王の相手となり、夜毎にお伽噺をして王の気をそらせる」

というかなりマジキチな設定がなされており、とても子供に薦められるような内容ではありません。

そもそもちくま文庫の表紙からして相当エロティックであり、通勤電車で堂々と読むのが憚られるレベルです。

僕の優秀な友人は「文学少年面をして堂々と読めるエロ本」としてこの書を中学生時代に愛読していたと語っていましたが、さもありなん、であります。

色々なお伽噺をシェラザードが王様に聞かせる、というスタイルを取る形でこの物語は進んでいきます。

とはいえ、個々の物語に連続性がある訳ではなく、物語全体としては短編集の集合体といった体裁をとっています。

おそらく当時の編者が集めた色々な民話を纏めたものが起源なのでしょう。

また、この物語は「物語の中で別の物語が語られる」という独特の形式を取っています。

例えるならマトリョーシカ人形のようなイメージです。

大きな枠として、

「シェラザードの語る話」があり、その中の登場人物である

「旅の老人」が語る話があって、その中の登場人物である

「ある遠い国の大臣の息子」が語る話があって・・・

という風に、多層的な構造を取っており、注意深く読まないと今読んでいる話が誰によって語られているのか

わからなくなってしまいます。

でも、この「今の読んでいる話の話者がわからない」という状況こそが、この物語の神秘性をかきたてているのかもしれません。

そう、ちょうど、見知らぬ街の路地裏をあても無くさまよい歩くような・・・

続きはまた書きます。