Day1 イラン入管突破とテヘラン市内観光②
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旧アメリカ大使館の壁の落書き
旅行日時:2013年10月26日
宿から大通りを北に向けて歩くこと30分ほどで、旧アメリカ大使館跡の建物が見えてきた。
1979年に発生した「アメリカ大使館人質事件」の舞台となったこの地は、テヘランで是非とも訪れておきたい場所だった。
写真奥の、鬱蒼と茂った森のようになっているのが、旧アメリカ大使館の敷地である。
現在は革命防衛隊の施設となっているらしい。
通りに沿って周りを歩いてみた。
正門が思ったより狭く、また敷地が思ったより広いことが意外で、
首都にこれだけの面積の土地を用意できた、革命前のアメリカの影響力の強さを窺うことができた。
アメリカの国章がボロボロにされたまま放置されている国って、なかなか珍しいんじゃないだろうか。
ガイドブックには「外国人がうろうろしていると怖いお兄さんに怒られる」と書いてあったので、名残惜しいが早々に立ち去ることにする。もっとも、周りは普通の大通りで、外国人の僕が珍しがられるような雰囲気ではなかったけど・・・
歩きつかれたので、地下鉄に乗ってゴレスターン宮殿を見学に行く事にした。
テヘランの地下鉄の切符。suicaのようにタッチ式の切符だった。
自動販売機もあるが、全て故障中なのはご愛嬌。
片道10円程度と非常にお買い得である。
地下鉄は、駅・車内ともきれいに掃除され清潔に保たれており、非常に快適。
ただし混み具合はラッシュ時の東京並みであった。
大気汚染と交通渋滞のひどいテヘランにおいて、低価格で早く目的地まで到達できる到達手段となると、
市民の足が地下鉄に向くのは当然なのだろう。
ぼーっと路線図を見ていると、すかさず
「何か困っていることはないか?どこに行くんだ?」
iPhoneを首からぶらさげてこれまたぼーっとしていると、
「携帯電話を首から下げていると危ないぞ。ポケットに入れておけ」
等とお節介を焼いてくれるイラン人。いい奴らじゃないか。
パーンズダヘ・ホルダード駅で地下鉄を降り、
カージャール朝の王宮として使われていたというゴレスターン宮殿へ。
宮殿はバザールに隣接しており、土曜日の夕方ということもあってか大勢の人で賑わっていた。
宮殿見物の前に、まずは腹ごしらえ。
バザールのサンドイッチ屋にて遅い昼食を取る。
ケースに入っているサラダや鶏肉などを指差して中に詰めるものを指定する「サブウェイ」方式なのだが、
選ぶのが面倒だったので、
「前の客と同じものをくれ」
と頼みあつらえてもらった。
鶏肉、ピクルス、トマトなどが入ったサンドイッチ。2ドル程度。
ケチャップをかけて食べると風味が増して非常に美味しかった。
腹も膨れたところで、宮殿見物へ。
宮殿の入口には猫がいた。本場のペルシャ猫?
宮殿の中には7つの博物館があるが、時間の都合で2つの博物館を見学できるチケットを買った。
まずは王宮へ。
内部は写真撮影禁止だったので写真をご紹介できないのが残念だが、
フランスやイタリアより取り寄せたという調度品の数々、
贅を尽くした内装や照明など、シャーの豪華な暮らしぶりを偲ばせるに充分な内装であった。
広大な庭をしばし散策する。
壁面を彩る緻密なタイルワークに目を奪われる。
閉館は17時過ぎとのことだったが、時間になっても特段追い出されるようなこともなく、
ゆったりと建物見物を楽しむことができた。
宮殿見学を終え、バザール見学。
ここテヘランのバザールは中近東最大規模らしい。
貴金属、香料、衣料品など、扱う商品によって出店の場所が大体決まっている。
イスタンブールのバザールだと、20mに1人くらいの割合で
「ジャパニーズ!ジュータン安いよ!」
「絵葉書いらないか!」
「うちでチャイでも飲まないか?見るだけタダだよ!」
等と物売りに声を掛けられ鬱陶しいのだが、ここではそのような物売りは全くいなかった。
テヘランは全体的にツーリスティックな街ではないらしく、
私のような旅行者はいい意味で「放っておいて」もらえてとても気楽だった。
バザールを出て再び地下鉄に乗り、イマーム・ホメイニー駅で降りて同名の広場を横切りホテルに返る途中で、
イラン人カップルが痴話ケンカをしている場面に出くわした。
大声で怒鳴りあう男女。
罵りあいは次第にエスカレートし、ついには女性が男性に唾を吐きかけるにいたった。
(主として手塚治虫の)漫画や映画で唾を吐きかけるシーンは見かけるが、
生で見たのはこれが初めてだった。
終いには、女性は号泣しながら叫び声を上げ、男性は面倒な事になると思ったのか突然通りに沿って駆け出していった。
すると、女性が叫び声を挙げるとほぼ同時に、周りの店や通りから十数にの人々がワラワラと女性のもとに集まり、男性人は数人がかりで逃げ出した男を追いかけ取り押さえ、女性のもとに連れ戻した。
一方、周囲の女性は泣き叫ぶ女性を取り囲んでなにやら話し込んでいる。きっと事情を聴いて慰めているのだろう。
イラン人の気性の激しさを目の当たりにして呆気に取られるとともに、
困っていそうな人にはとりあえず何らかの形でコミットしようとするのがイラン人気質なんだろうな、と思った。
宿に戻ると、新しい水と果物が用意されていた。
廊下の床に置いてあるのは・・・まぁ、ご愛嬌だろう(笑)
一休みしてからホテルのレストランへ。
前菜のスープと、ノンアルコールビール。
スープは優しい味わいで、歩き回った身体には丁度良かった。
メインディッシュの、ケバブとライス。
サフランで色づけされたライスが交じっている。バターを混ぜて食べると風味が増して美味しい。
オーソドックスなチェロウ・キャバーブ。
こちらも熱々でしっかりとした歯応え。
焼きトマトは塩をかけて単体で食べたが、ライスの上で潰して食べるのが正統派らしい。
ドリンク、スープ、ライスとケバブのセットで10ドル程度だった。
テヘランの物価に照らせばいいお値段なのだろうが、量・質ともに満足感のあるディナーだった。