まめちの本棚

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【読書メモ】辻田 真佐憲「大本営発表 改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争」はじめに~第1章

今回は「はじめに」と「第一章」を読んだ。

【陸軍と海軍の報道に関する意識差】

『兵力の大部分を徴兵に依存する陸軍は世論の動向にとても敏感であり、実際は…世論対策に腐心していた』 (p25)

一方、海軍は「サイレント・ネイビー」の気風を重んじていたことから、

『報道を無用なおしゃべりとみなし、軍事普及部を「チンドン屋」と呼んで軽んじる嫌いがあった』(p25)

陸軍と海軍は色々な局面で対立し、互いに足を引っ張り合うような局面があったという印象である。

各部門がみずからの利益を最大化することにのみ腐心し、その企業全体の利益を考えず行動する、という事象はこんにちの大企業でもありがちですよね。。。

【軍部と癒着するジャーナリズム】

当時、熾烈な競争を繰り広げていた新聞社各社は、軍部に接近・癒着することで、ニュースバリューの高い情報を他社に先駆けて得ようとした。その結果、

『新聞は戦争報道の見返りを受けるなかで徐々に骨抜きにされ、ついには大本営報道部の拡声器に堕』(p38)

してしまった、と筆者は述べている。

『批判・検証の使命を置き去りにした時点で、報道機関は死に至る病に蝕まれていたのだ』 (p39)

常に提供される情報に対して批判精神を持つことや、裏を取るという努力を怠ってはなりませんね。

(実際には難しいのですが・・・)

余談だが、

「現場から上がってきた情報が大本営発表になるまで」

のプロセスは非常に煩雑であったというエピソードが紹介されている。

大本営発表は報道部の専売特許ではなく、様々な部署の意向が反映されたものだったのだ。そのため、ときその内容は組織間の不和対立や妥協の影響をもろに受けることにもなった』

と、発表内容につき決裁を得るのは非常に大変だったようだ。

当時の担当者の気苦労を考えると「大組織のルールの面倒くささは昔も今も変わらないなぁ」という気になる。