青年将校と「純粋まっすぐ君」
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こんにちは。まめちです。
昨日「終戦の詔書」と「日本のいちばん長い日」の話をしたので、それに関連して軽く書きます。
『日本のいちばん長い日』では、終戦の閣議決定を覆すため、また「終戦の詔書」を録音したレコードを奪取するため、首相官邸や皇居などを襲撃する軍人の姿が描かれます。なかでも、ファナティックな純真さを背景に暴挙に及ぶ青年将校の姿が強く印象付けられます。
本書における「青年将校の純粋さ」に対する著者の目線は冷ややかで、まるで世間知らずの若者を突き放すようです。
漫画家の小林よしのり氏は、オウム真理教の教理を盲信し、反社会的行動を教理を根拠に正当化する若者のことを「純粋まっすぐ君」と評しましたが、一部の血気にはやる青年将校が採ったクーデターや玉音版の奪取という暴挙は、オウムの若者(古くは過激派学生)と似ています。
この「血気に任せて突っ走るあまり破滅的な最後を迎える若者」「そのような若者を『動機の純粋さ』から賞賛する態度」の期限は、江戸時代の陽明学に遡るそうです。
『動機さえ純粋であれば許される』という態度は、よく考えてみるときわめてはた迷惑かつ非合理的でありますが、こういう心情を賞賛するメンタリティは日本人の心のどこかに眠っている気がします。
今日はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考文献:
◆小島毅『近代日本の陽明学』
◆山本直樹『レッド 1969~1972』