【書評】『金融リスク管理を変えた10大事件』藤井健司
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・VaRを用いたリスク管理
・BCPプランの策定
・金融商品を販売する上での「適合性原則」
・レピュテーショナルリスクの管理
・フロント部門とリスク管理部門の分離
…といったリスク管理手法やリスク管理体制は、2009年に金融業界に入った私にとっては「当たり前」のことですが、
大昔から「当たり前」だった訳ではなく、それぞれの時代における大きなネガティブ・イベントが起こるごとに制定され、洗練されてきた、
ということが分かる本です。
本書では、1987年の「ブラックマンデー」から、2010年の「フラッシュ・クラッシュ」(アルゴリズム取引が引き起こした瞬間的な相場急落)までの23年間に発生した10の事件を取り上げ、それぞれが金融リスク管理上どのような影響を与えてきたか、をわかりやすく論じています。
(単純計算で、2~3年に1回は大事件が起こっていることになります!)
まだ最後まで読んでいないのですが、
「金融業界をとりまく技術の進歩は文字通り日進月歩であり、またこの業界は失敗と改革が短時間で繰り返される世界である」
という印象を強く受けました。
(なお、私は常に変化をもたらすダイナミズムが金融業界の魅力だと思っています)
リスク管理について理解を深めないといけないけど、ハードカバーの分厚い本をいきなり読むには気が引ける・・・
という(私みたいな)人にはお勧めです。
※9月に増補版が出ましたが、本レビューは旧版に基づいています。