まめちの本棚

Twitterで書ききれない話題をこちらに纏めています。

「終戦の勅書」を観に行ったお話。

お題「印象に残っている展覧会」

こんにちは、まめちです。

「印象に残っている展覧会」の話です。

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終戦の勅書」御署名原本

竹橋にある国立公文書館で去年(2016年)の5月に実施されていた、終戦詔書」の現物展示が、直近観た展覧会としてはもっとも印象に残っています。

終戦詔書」とは

終戦詔書」は、ポツダム宣言を受諾し太平洋戦争を終結させることを表明した文書です。これを昭和天皇が読み上げたものが「玉音放送」として録音され、1945年8月15日正午にラジオを通して国内外の国民に向けて放送されました。

昭和天皇や閣僚たちが御前会議において降伏を決意し、玉音放送がなされるまでの24時間は、半藤一利により『日本のいちばん長い日』というタイトルでノンフィクション書籍としてまとめられ、のちに岡本喜八監督による同名の映画が製作されています。

私の好きなシーン

私はこの映画が非常に好きで、何度も観返しているのですが、中でもこの「終戦詔書」を清書するシーンが一番好きです。

詔書」は、本来ならば閣議決定を待ってから浄書されるのが普通です。しかし今回は、時間的余裕がなく閣議決定と並行して浄書が進められました。浄書の途中、何回か文言の修正が入り、書き直す余裕がなかったため、紙を削ったり、括弧を用いて字句を書き足すという方法がとられました。

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第2項より。

「戰局必スシモ好轉セス」「敵ハ新ニ殘虐ナル爆彈ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ」が訂正箇所

普通なら「ありえないこと」

大企業や官公庁にお勤めの方ならわかると思いますが、今後何十年にわたって、組織による意思決定の証しとして保存される文章を修正する際、「上から紙を貼る」「括弧を用いて訂正する」ということは、基本的にはありえないことです。国家の意思決定を示す文章であらば猶更でしょう。それだけに、事態がいかに逼迫していたかを、この文書は雄弁に物語るのです。

そんな「歴史の生き証人」たる詔書の実物がガラスケース越しに自分の眼前にあることに深い感動を覚えました。「歴史」そのものと対峙している、という感慨です。また、そのような機会に巡り合えたらいいな、と思っています。

参考文献 

◆『日本のいちばん長い日』Kindle

岡本喜八監督「日本のいちばん長い日」Amazonビデオ  

日本のいちばん長い日
 

 ◆原田眞人監督「日本のいちばん長い日」Amazonビデオ  

日本のいちばん長い日
 

今日はこの辺で。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

東京都美術館で開催中!ブリューゲル「バベルの塔」展を観てきたよ

こんにちは、まめちです。

今日はハブルの塔バベルの塔の話をします。

バベルの塔」展全体の感想

 東京都美術館で開催されている『ブリューゲル「バベルの塔」展』を観てきました。

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ピーテル・ブリューゲル1世<<バベルの塔>>1568年ごろ 油彩、板 ボイマンス美術館蔵

目玉は上掲の、ピーテル・ブリューゲル1世による「バベルの塔」(1568年ごろ)です。

他には、世界に20数点しか現存しないとされるヒエロニムス・ボスの作品や

 

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ヒロニムス・ボス<<放浪者(行商人)>>1500年頃 油彩、板

ブリューゲル1世の手がけた「バベル」以外の有名な作品

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ピーテル・ブリューゲル1世<<大きな魚は小さな魚を食う>>1557年、エングレーヴィング

…など、ネーデルラントの作品を数多く大変することができ、大変満足しました。

バベルの塔」を観た感想

意外と小さい

公式図録に原寸大の「バベルの塔」 のポスターが付録としてついているのですが、サイズを文庫本と比較してみると意外に小さいことがわかります。

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一方で、この小さい絵の中には様々な人や物が描かれています。

石工、人夫、船の乗組員、煉瓦工etc...らせん構造の3層目には、赤い天蓋が見えます。建築現場を視察にきた「エラい人」でしょうか。

絵の中に緻密に書き込まれたキャラクターは、様々な人間模様や、物語の広がりを感じさせ、私たちの想像力を掻き立ててやみません。

「神の怒りに触れた」のはなぜか?

なぜ、バベルの塔は倒壊の憂き目にあったのでしょうか。

「天まで届く建築物を造ろうとした人間の傲慢さが神の怒りに触れたからだ」とされていますが、ではなぜ人工物が天にまで届いたら神が怒り出すのでしょう。神が「おうおう、お前らよくやったな」くらい言ってくれてもよさそうなものです。

まずは旧約聖書の、バベルの塔について言及されている箇所(創世記、11章)に、どう書いてあるのかを確かめてみることにしました。

11:1全地は同じ発音、同じ言葉であった。

11:2時に人々は東に移り、シナルの地に平野を得て、そこに住んだ。 11:3彼らは互に言った、「さあ、れんがを造って、よく焼こう」。こうして彼らは石の代りに、れんがを得、しっくいの代りに、アスファルトを得た。

11:4彼らはまた言った、「さあ、町と塔とを建てて、その頂を天に届かせよう。そしてわれわれは名を上げて、全地のおもてに散るのを免れよう」。

11:5時に主は下って、人の子たちの建てる町と塔とを見て、

11:6言われた、「民は一つで、みな同じ言葉である。彼らはすでにこの事をしはじめた。彼らがしようとする事は、もはや何事もとどめ得ないであろう。

11:7さあ、われわれは下って行って、そこで彼らの言葉を乱し、互に言葉が通じないようにしよう」。

11:8こうして主が彼らをそこから全地のおもてに散らされたので、彼らは町を建てるのをやめた。

11:9これによってその町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を乱されたからである。主はそこから彼らを全地のおもてに散らされた。

口語訳聖書 - 創世記

これを読んでもよくわからないのですが、英文で読んでみると、何となくわかってきました。

Then they said, “Come, let us build ourselves a city, with a tower that reaches to the heavens, so that we may make a name for ourselves; otherwise we will be scattered over the face of the whole earth.”

Genesis 11 - The Tower of Babel - Now the whole - Bible Gateway

「それから民はこう言った。『さあ、力を合わせて街を作ろう。街には天界に届くほどの塔を作って、我々の名を世に知らしめよう。さもなくば、我々は全世界に散らばってしまうだろうから』」 (まめち訳)

"the heavens"は、神々の住まうところという意味になるようです。要は

「オドレらワイの被造物の分際で、ワシの家を覗き込みに来ようとはエエ根性しとるの、その腐った性根叩き直したる」

という風に神が理不尽にキレ出した、という事のようです。

旧約聖書の神はしょっちゅう理不尽にキレ出す、と佐藤優氏の本に書いてありましたが、要は合理的な理由はなく、神の機嫌を損ねてしまった、ということになるのでしょうか。感情的にキレ出すタチの悪い上司みたいで、困ったものですね。

バベルの塔」はなぜ海沿いに建っているのか

ひと目見てわかるように、バベルの塔は海に面して建っています。塔の隣には港が据え付けられ、多種多様な船が係留されています。これらは何の船なのでしょうか。

私の想像では、バベルの塔に必要とされる建築資材その他もろもろの物資を運搬する船ではないでしょうか。

今も昔も、大量の物資を低コストに運搬する最良の手段は水運だから、というのが推察の理由です。

バベルの塔の主要な素材である煉瓦は、絵の左手奥に描かれているレンガ工場で作られ陸送されているようですが、おそらくその他の建築資材(木材、モルタル、人夫の食料や日用品など)を運搬するのに船を使っていたのではないでしょうか。

とするならば、この超巨大建造物を海の近くに建築するのはきわめて合理的な発想といえるでしょう。ブリューゲルがそこまで意識していたかは分かりませんが…

※ちなみに、ブリューゲルは非常に卓越した船に関する知識を有していたそうです。単にブリューゲルが船の絵を描き込みたかっただけかもしれません。

参考文献

◆ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲルバベルの塔」展公式ガイドブック

◆『アスタロト

アスタロト (1) (秋田文庫)

アスタロト (1) (秋田文庫)

 

 『パタリロ!』 『翔んで埼玉』などで有名な魔夜峰央氏による作品です。ボスやブリューゲルの絵に出てくるような怪物に似たイメージのキャラクターが多数登場します。これらの画家の世界観が好きな方には非常にオススメです。

◆『コンテナ物語』

コンテナ物語

コンテナ物語

※船は何を運んでいるのか?には本書からヒントを得ました。 

 今日はこのへんで。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

Kindleで大幅値下げ中の、100円シリーズ本が秀逸なのでご紹介します。

こんにちは、まめちです。

Kindle本大幅値下げセール」で、期間限定で100円で売られている本が非常に秀逸なので、何冊かご紹介します。

※値段はすべて2017年4月18日現在のものです。

※2017/4/22追記:本セールは現在終了しています。

 金融・経済・経理

◆『経理の教科書1年生』
経理の教科書1年生

経理の教科書1年生

 
◆『簿記の教科書1年生』
簿記の教科書1年生

簿記の教科書1年生

 
 ◆『カラー版 一番やさしい資産運用の教科書』
 ◆『オールカラー ”ギモン”から逆引き!決算書の読み方』

  不動産関連

 ◆『超入門 不動産の教科書』
超入門 不動産の教科書

超入門 不動産の教科書

 
 ◆『いちばんやさしい建築基準法
いちばんやさしい 建築基準法 改訂版

いちばんやさしい 建築基準法 改訂版

 

自然科学 

◆『子どもも大人もたのしく読める 算数&数学ビジュアル図鑑』
子どもも大人もたのしく読める 算数&数学ビジュアル図鑑
 
◆『あの雲なに?がひと目でわかる!散歩の雲・空図鑑』
あの雲なに?がひと目でわかる! 散歩の雲・空図鑑

あの雲なに?がひと目でわかる! 散歩の雲・空図鑑

 

歴史

◆『マンガでわかる 今を読み解く世界史講義』
マンガでわかる 今を読み解く世界史講義

マンガでわかる 今を読み解く世界史講義

 

どの本も内容が充実しており、100円は破格の安さです。

(本来は1,500円くらいで売られている本が大半なので、当然といえば当然かもしれませんが)

この機会に、普段読んだことのないジャンルの本を読んでみるというのはいかがでしょうか?私は、全く知識のない栄養素関連の本を買ってみました。

 ◆世界一やさしい!栄養素図鑑
世界一やさしい!栄養素図鑑

世界一やさしい!栄養素図鑑

 

買った本がもしつまらなくても、たったの100円、缶ジュースより安いのです。何か一つでも学びがあれば、十分元が取れるのではないでしょうか。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

思い切って、1万円するキーボードを買ってみた。

こんにちは、まめちです。

ブログを書くようになってから、自宅のPCで長文を打つ機会が増えたため、キーボードを見直すことにしました。

見直しにあたっては、のらえもんさんのブログ記事の影響もあり、「ここはひとつ、1万円程度する高級キーボードを試してみよう」と思いました。

zakki.wangantower.com

2017/4/22追記:

関連記事を書きました。

mamechiblog.hatenablog.com

購入にあたっての条件

  • 1万円程度
  • テンキーが付いている
  • 日本語キーボード
  • 黒色(インテリアと合わせるため)

としました。

この基準のもと、家電量販店やPCショップを回り、色々触って検討した結果、購入したのがこちらです。秋葉原ヨドバシカメラで購入、お値段は税込10,380円でした。

 ◆オウルテック OWL-KB109CRE-BK

 使ってみた感想

いい買い物をした!という一語に尽きます。

最大のメリットは、ミスタイプが減少したことです。「キーを押したはずなのに入力が伝わっていなかった」という事象が大幅に減少し、入力時のストレスが大きく削減されました。タイピングの感覚が紙に文字を書く感覚に近くなった、というイメージです。

また、キータッチも心地よく、長時間キーボードを打っていても腕や肩が疲れにくくなりました。

ちなみに、今まで使っていたのは下記の機種です。

エレコム ワイヤレスキーボード FDM063BK

 マウスが付いて2,000円を切ることもあり、大変お得なのですが、入力のしやすさでは新しく購入したキーボードに軍配があがります。残念ですが本機はしばらくお蔵入りとなりそうです。

友人のおすすめキーボード

余談ですが、先日の女子会()の後のランチ会()で、キーボードの話題に花が咲きました。

友人が愛用しているのはこちら

 ◆PFU Happy Haking Keyboard
PFU Happy Hacking Keyboard Lite2 日本語配列かな印字なし USBキーボード ブラック PD-KB220B/U

PFU Happy Hacking Keyboard Lite2 日本語配列かな印字なし USBキーボード ブラック PD-KB220B/U

 

友人はこのキーボードを非常に気に入っており、会社用と自宅用とで2台購入しているそうです。友人曰く、「キーボードが変わると脳にストレスがたまる」のだとか。

なお、お店で本機も実際に触ってみたのですが、テンキーが付いていないことや、キータッチがあまりしっくりこないこともあり、購入は見送りました。やはり「人それぞれ」ということですね。

今日はこの辺で。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「●●活」はやらないに越したことはない?

こんにちは、まめちです。

昨日、なんとか婚活が一段落しました。

たくさんのフォロワーさんからお祝いの言葉をいただき、ありがとうございました。

 

さて婚活ですが、ぶっちゃけ非常に大変でした。

まず当然ですが、お金とかなりの手間がかかります。自分を魅力的に見せるプロフィールの作成にはじまり、お見合いの日程調整、デートのセッティングなどが非常に面倒でした。ほかにも、交際を続けるか見送るかを判断したり、心無い態度で交際を断られたり、その理由が全然分からず落ち込んだり…と、精神的にキツい局面が多々ありました。

婚活の話は、後日稿を改めて書きたいと思います。

人生は「●●活」だらけ

考えてみると、私たちは色々な●●活をする時代に生きています。

ふと考えただけでも、 

就活、

転活(「転職活動」の意)、

婚活、

妊活、

終活…などの言葉が思い浮かびます。

 これらの言葉は、いずれも「あるライフイベントを乗り越えるために要する特別な努力」という意味を含んでいます。

 「しないで済む苦労や努力はしないに越したことはない」という立場からすると、

例えばホワイト企業へのコネ入社で就活や転活を回避し、

いいタイミングで相性の会う女性と巡り合い婚活や妊活をやり過ごす…など、

エネルギーやリソースの消費を最低限にし、要領よく生きていけるのが理想なのかな、とぼんやりと考えました。

もっとも、そういう人生を送ろうと思って送れるわけではありませんし、そういう人生が本当に幸福かどうかもわかりませんが。

今日はこの辺で。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

中島義道『人生を「半分」降りる-哲学的生き方のすすめ』 
人生を「半分」降りる―哲学的生き方のすすめ (ちくま文庫)

人生を「半分」降りる―哲学的生き方のすすめ (ちくま文庫)

 

 中島義道氏のエッセイです。中島氏の本を読むと、ちょっと心が軽くなることがあるので、折に触れて読み返しています。