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新人銀行マンにオススメの本4冊【闇が深い系】

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こんにちは、まめちです。

新人の銀行マンに読んでほしいオススメ本紹介シリーズ、今回で最終回です。

今日は金融業界の「闇」を感じ取れる作品を紹介したいと思います。

自分たちが扱う「お金」というものや、職場である「銀行」という組織のとらえ方について、色々な気づきが得られると思います。

◆黒木亮『貸し込み』
貸し込み 上 (日経文芸文庫)

貸し込み 上 (日経文芸文庫)

 

本書のあらすじは下記の通りです。

バブル最盛期に行なった脳梗塞患者に対する過剰融資で訴えられた大手都市銀行は、元行員の右近祐介にすべての責任を負わせようとする。右近は我が身に降りかかった濡れ衣を晴らし、銀行の巨悪を告発するべく、証言台に立つことを決意。マスコミと有能な女性弁護士の協力を得て、全面対決の構えをとった。しかし、銀行は組織の体面にかけて、なりふり構わぬ戦いを挑んできた。経済小説の旗手が実体験をもとに描く迫真のドラマ

「貸し込み」とは、金融機関が必要以上にお金を貸すことを指す言葉です。私のいた銀行では、支店の営業担当には厳しいノルマが課せられ、ノルマをこなすことに毎日汲々とし胃が痛む思いをしてきました。

コンプライアンス体制が整備された今では、本書に出ているような「両建て」「各種申込書類の偽造」といった明らかな違法行為を行うことは難しくなっているものの、毎日のように数字に追い立てられていると、本書の登場人物のように「不正をしてでも目標(ノルマ)を達成したい」という気持ちになることは、銀行員の方なら一度や二度は経験したことがあるのではないでしょうか。

黒木亮『貸し込み(上)』

清武英利『しんがり 山一證券最後の12人』

 「しんがり」とは、負け戦のときに最後列で敵を迎え撃つ兵士のことを指します。

本書は、かつて我が国における4大証券の一角を占めた山一證券自主廃業を発表し、社員が我先にと再就職に走るなか、会社の清算と預かり資産の払い戻しという「後ろ向きの仕事」に粛々と従事した職員の様子を描いた人間ドラマです。

自分の職責を全うしようと最後まで働き続ける職員の姿には心打たれるものがありますが、本書の「読みどころ」は、山一證券自主廃業に至るまでに行ってきた数々の触法行為の手口や、それを担当してきた人たちの、カネと欲にまみれた有様です。

・内部のチェックや批判を許さない体制、

・トップの暴走を止められない社内の「空気」

などが組織を破綻に導く、という教訓を得られます。

清武英利『しんがり 山一證券最後の12人 (講談社+α文庫)』

森功『同和と銀行
同和と銀行 -三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録 (講談社+α文庫)

同和と銀行 -三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録 (講談社+α文庫)

 

 大阪府の行政・警察・国税に太いパイプを持ち、「大阪同和界のドン」として君臨してきた小西邦彦氏と、彼の担当を務めた三和銀行行員・岡野義市氏の物語です。

本書は、入院中の小西氏のもとを新任挨拶のため岡野氏が訪れるところから始まるのですが、小西氏が借入明細のレートを赤ペンで次々と書き換え、「このレートに変えるように」と言い放ち、それが堂々と通る、という、今では考えられない「無茶苦茶ぶり」にまず度肝を抜かれます。

その他にも、今なら明らかなコンプライアンス違反として断罪されるであろうエピソードがこれでもか、というくらいに紹介されており、かつての銀行はここまで無茶苦茶なことをしてきたのか、と「感心」させられる内容です。

これからの行員生活を通じて「コンプライアンス遵守」を口やかましく言われると思いますが、その原因は銀行が過去に行ってきた非道徳的な行為にある、という事を納得させられる一冊です。

森功『同和と銀行 -三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録 (講談社+α文庫)』

◆有森隆『銀行消滅 あなたのメインバンクの危機を見極める』

 タイトルこそ「銀行の危機を見極める」となっていますが、実態はバブル以降に経営破たんしたり、合併・統合を余儀なくされたりした銀行と、その経緯を綴るドキュメンタリーです。言い換えると、銀行経営「べからず集」を集めた本であるという言い方もできます。

過去、銀行がどのように経営のかじ取りを誤り、顧客や従業員のみならず日本経済に大きな悪影響を与えたか、を概観できる良書です。

なお、本書はAmazonの中古在庫の最安値が1円と安価(2017年4月8日現在)であり、ブックオフの100円コーナーでも比較的よく見かけることも多く、入手が容易なこともありラインナップに加えました。

同じ著者の本ですと、事例が多く紹介してある本書もオススメです。

銀行の墓碑銘

銀行の墓碑銘

 

 有森隆『銀行消滅 あなたのメインバンクの危機を見極める(上) 』(講談社+α文庫)

 今日はこの辺で。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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